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医療費削減の戦犯はだれだ

文春
元財務省課長補佐の村上正泰氏が「文芸春秋2008年9月特別号」で「医療費削減の戦犯はだれだ」というタイトルで持論を述べられていた。愉快痛快奇奇怪怪さんが要約されているので引用する。(以下引用)

● これから高齢化に伴って、社会保障給付がどんどん延びていく。そうなるとやがて従来の社会保障制度では成り立たなくなるから、持続可能な制度にするためには、名目GDPの伸びに合わせて社会保障給付費を管理すべきだ―。これは「伸び率管理」と呼ばれる議論で、財務省もこの立場に立った。しかし、少し考えてみれば、これは医療というものの実体を無視した討論であることが分かる。
●そもそも国民は病気になれば医療機関にかかるほかない。これは景気の動向とは無関係だ。医療費をGDPの伸びに合わせる、ということは、極論すれば、景気が悪いから病院にかかるな、というに等しい。また医療とは不確実なもので、例えばインフルエンザの流行や不足の病が蔓延したりする可能性もある。その場合には当然、いつもの年より医療費はかかるが、GDPの伸びが低いからといって、こうした医療費を抑えることはできないし、すべきでない。
(引用終わり)

これから高齢者はどんどん増えるから医療費がかかるのは当然である。それなのに、医療費とGDPをリンクさせるという訳の分からない理屈を持ち込むから問題になる。最近、わが国も景気減速で4-6月期のGDPはマイナスという報道があったが、景気が回復しなければ医療費もどんどん削減されるということになる。現場は阿鼻叫喚の地獄となるだろう。勿論、無駄を省くことは当然であるが、日本の医療は世界的に見ても群を抜いて低コストである。カラカラに乾いた雑巾を絞ってももう一滴も水は出ないのだ。
 後期高齢者医療制度で切り捨ての対象となる高齢者は、戦後の貧しい時代を生き、日本の再生に貢献した人たちである。彼らをボロ雑巾のように切り捨てる政策に違和感を覚える。マスコミでよく言われるように「埋蔵金」を活用してもいいし、GDPとどうしてもリンクさせたいのであれば確実に景気回復させ、GDPもアップさせるような財政政策を取るべきだ。

高齢者の積極的降圧に根拠

(日経メディカル7月号より)
今年の欧州高血圧学会/国際高血圧学会では、80歳以上の高齢者への積極的降圧治療が死亡リスクを低下させることなどを示した、大規模臨床試験「HYVET」が話題に。論文発表前のデータ開示もあった。
「HYVET」は80歳以上の高齢者を対象にしたランダム化比較試験だ。利尿剤+ACE阻害剤による積極的治療(150/80 mmHgを目標に降圧剤を投与)を実施したグループに致死的・非致死的な脳卒中リスクの減少傾向がみられ、加えて脳卒中による死亡リスク、全死因死亡のリスクが有意に低下することも示した。
 後期高齢者に対する降圧治療にはこれまでエビデンスがほとんどなく、「降圧目標をどうするか」「そもそも治療すべきなのか」などが議論になっていた。今後は、HYVETに匹敵するエビデンスが得られない限り、「80歳以上の高血圧患者にも積極的な薬物療法」が世界のスタンダードになりそうだ。


この「150/80 mmHg以下」というラインは日本では決して積極療法とはいえないレベルだ。後期高齢者ではマイルドな降圧が求められるので、若い世代ほど下げないにしても、多くの先生は実際これくらいまでは下げているだろう。日本では「それくらいの降圧は普通にやっていますが、何か?」ということになってしまうかも。
ただ、こういうエビデンスは後期高齢者に対する積極治療は削減する方向で誘導している日本の医療行政には逆風か。「高齢者だからって治療しないでいい、なんてもう言わせないぞ!」という声が強くなりそうだ。

週刊東洋経済の「クスリ」大解明!

touyoukeizai

今週の東洋経済は「クスリ」が特集だ。後発医薬品などにも踏み込んでおり、興味の持てる内容だった。
東洋経済、ダイヤモンド、エコノミストなどの雑誌はサラリーマン層が主な読者だろう。特定健診を受け、生活習慣病と言われて気になっている層が今回の特集のターゲットと見た。
このところ何度も書いているように、降圧剤は高価である。ブログを書くために改めて薬価を見直しているが、ARBの高さを再認識した。糖尿病でもない患者に1st choiceでARBを出し、しかも降圧不十分なら最高用量まで単剤で増やしたりしたらすごいことになる。薬価と効果を考えて処方しないと、患者さんに大きな負担を強いてしまう。
 さて、記事の内容だが、「後発品は先発品と遜色ない効果がある」という意見を載せている先生がいた。後発品に反対しているのは主に製薬会社(先発品メーカー)であり、医師が投与に新調なのは単に使い慣れていないから、という論旨であった。効かない後発品も実際にあるのだが・・・この特集を読んで、「ジェネリックにして下さい」という人は確実に増えそうな予感。
 それから、「こんな薬は高齢者に使ってはいけない!」、「こんな疾患にこの薬は使ってはいけない!」というコーナーもあった。調剤薬局でもらった薬の一覧表見て、自分の病名と投薬が矛盾しないかする人が増えそうだ。勿論、我々は慎重投与の薬剤について熟知していなけらばならないのだが、
こういう記事を読むと緊張してしまう。どんな質問が来ても堂々と、自信を持って答えられるようにもっと勉強しなければ!

WEDGE7月号

wedge

今月号の「WEDGE」で、「医療崩壊 医師の増員では解決しない」という特集が組まれています。タイトルに惹かれて駅の売店で購入した。コンビニ受診の増加が医師を疲弊させ、医師の立ち去りを招いているという主張がなされている。コンビニ受診を抑制して医師不足を解消した例として、兵庫県の県立柏原病院小児科を存続させるため地域住民が行った「子供を守ろう、お医者さんを守ろう」運動が紹介されていた。地域住民がコンビニ受診を制限し、医師の疲弊を防止した結果、存亡の危機にあった小児科が延命されただけでなく、常勤医も2名から4名に増えたそうだ。住民の理解と協力があればここまでできるのだ。この事例をもっと世に知られるようにしないといけない。
もうひとつ面白かったのがTOP RUNNERのコーナー。「稼ぐのが勝ち組」そんなモノサシ壊してしまえ 書店「読書のすすめ」店主 清水克衛さんだ。清水さんは客に本をすすすめるのみならず、悩みを聞き、酒を飲みながら励まし、説教し、とことんお節介を焼いてきた。人と人がつながり、助け合って感謝する日本を取り戻す…いい本屋です。
東京の下町の駅の外れ、商店もまばらな一角にありながら、書店業界の注目を集める。大手書店のようにベストセラーを店頭に積むことはなく、マイナーな本を並べているのに、それが数百冊単位で売れることがしばしば。異例のことと、視察に訪れる書店が絶えない。なぜか。清水さんを信頼して「本はここで買う」という客がたくさんいる。何より、清水さんが客の悩みや苦しみの相談に乗り、その接点から今の世相を読むとともに、「世の中、こうあるべき」という自身の価値観を重ね、「これから求められるのはこんな本だ」と考えて、既刊本から発掘して品揃えをする。ここからヒットが生まれている。
アマゾンも、あれはあれで便利だし、レビューやインスタントストアなどユーザー参加型のシステムは面白いのだが、顧客の面倒をみてくれるこういう本屋には敵わないのではないだろうか。
清水さんの以下の言葉が良かった。
「人のためにおせっかいを焼いて、感謝して助け合ってきたのが日本人のアイデンティティーです。江戸時代は『稼ぎ3割、仕事7割』と言いました。『稼ぎ』とは今のウチで言えば本を売ることで、『仕事』とは壊れた橋や埋まった溝を直したり、お年寄りの具合を見に行ったりと、誰かのために何かをすることでした。一日の7割は『仕事』をしていたんです」
「お客に『買ってくれ』と言っても売れない時代になってきた、そんなにおいを感じます。『買ってくれ』の前に、人のために何かして喜んでもらう。そうしている会社が、商いもうまくいくようになってきたと思います。『仕事7割』でも商いも成り立つのが一番いい。日本には、その下地があるんですから」

日経メディカルCadetto

かでっと

日経メディカルCadetto、先週送られてきました。
大学で無給で働いている私としては、自分の収入がどれくらいに位置するのが(下賎な話ですが)気になっておりました。私はギリギリU35ですが、収入は人並みになっていたのでちょっと安心しました。
キャリア形成については「医局はまだまだ捨てがたい」という意見と「これからは自分で見つける時代」という意見が拮抗していたように思います。ただ、我々くらいの年代では自分で探す医者が増えているようです。何となくわかる気がします。
大学に残っていても、周りがどんどん辞めていって不安。
関連病院も医者が辞めていって、労働環境がきつくなっていて美味しくない。

そんな境遇にある人が多いと見ます。

何とか現状打破しないと。

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